2023年12月05日スタッフブログ
役員報酬を高く設定している社長への銀行担当者の見方とは?
役員報酬は会社の固定費の中でも高額に分類される一つの経費でありますが、
利益が残りづらい会社の場合利益を残すために
役員報酬を低く設定する社長様も中にはいらっしゃるかと思います。
この場合は利益の兼ね合いで増額することで赤字になってしまっては元も子もありませんが、
銀行取引上の一般的な見解から申し上げますと
「役員報酬は高く設定しておく方がメリットがあります」。
当然、役員報酬を増額することは所得税、住民税が増加することに繋がり、
社会保険料も増加するため会社と従業員が折半している社会保険料の会社負担額も増加します。
これだけでみるとデメリットと感じるかと思います。
しかし、銀行では決算書を見る際に社長様の役員報酬の金額を確認します。
それはなぜなのでしょうか?
銀行では融資を出すか出さないかの審査をする際に
法人とその社長様個人を一体として審査を行います。
中小零細企業において資金面での応急処置として、
会社の資金が枯渇しそうな場合に社長ご自身が自己資金を注入するケースがよくあります。
これは社長自身が会社に資金を貸付ける、会社は社長から資金を借入するという関係となりますが、
この原資を社長自身がどれぐらい持っているかというのが重要となります。
その一つの判断基準として銀行員が見ているのが「役員報酬」の金額となるわけです。
高い役員報酬をとっていれば一般的に考えた場合、
それなりの個人資産があると判断することができます。
※もちろん、高い役員報酬であっても個人資産が少ない場合もございますので
あくまで一般的な考えであることをご理解ください。
役員報酬は高くしておけば、会社の万一の資金として活用できる可能性が高まり、
法人と個人を一体で見る場合のプラス材料になることも十分あり得ます。
いわゆる個人資産が担保になりえるということです。
もちろん、役員報酬は新たな期が始まって2ヶ月以内に決定しなければならない点や、
増額すれば「定期同額」の性質があるため期中の変更は業績悪化事由が認められない限り、
安易に減額変更することはできません。
しかし逆を言えば、役員報酬を高く設定しておくことで、
業績が悪化した時に減額することで会社に減額分の利益を残すことも選択肢としては可能となります。
高い役員報酬を取るためには会社の利益がしっかり残っている前提で設定することが必要です。
また、その役員報酬は新たな期が始まってから2ヶ月以内に決定しなければならない点も考慮しなければなりません。
仮に役員報酬を高く設定しておけば業績が悪化した時に
減額することで会社に減額分の利益を残すこともできます。
このことから、役員報酬が高いということは選択肢が広がることを意味するわけです。
役員報酬を低く設定して利益を出すよりも、
高く設定した上で利益が出る方が銀行としての評価は得られやすい場合もあります。
それは高額な役員報酬を差し引いても利益をしっかり出せていると見えるからです。
ただし、上記の話はあくまで銀行目線での話であり、
過度な増額は税務調査で指摘されやすいため増額をする際には顧問税理士に相談の上、
計画的に行うことをお勧めします。
また、会社にとって適正な役員報酬を決める場合には1年間の損益計画を決めた中で
一番最後に決めることをお勧めします。
会社の状況によって少なすぎる、または多すぎることのないよう適正な役員報酬を決定し、
銀行への見え方をしっかりと意識することが必要です。