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2024年03月05日スタッフブログ

金融機関への繰り上げ返済をするべきかどうか

会社に利益が順調に積みあがって手元の現預金が増加していくと多くの経営者様が考えることは

「借入金の返済を前倒しにできないか」です。

 

確かに借入金を前倒しで返済することにより金利面での負担を軽減させることが可能です。

これはあくまで借り手である会社目線での話であり、

貸し手の金融機関はどのように考えているのかも含めて解説します。

 

まず、結論から申し上げますが、金融機関への繰り上げ返済するのはオススメしません。

それはなぜか?

一番の理由は返済でキャッシュアウトすることによる資金繰りが安定しなくなる可能性がある点です。

 

手元預金が潤沢にあることから借入を少なくしていきたい、

利息のコストが無駄に感じると感じる経営者の方もいるかもしれません。

そもそも借入をすることに対して抵抗を持つ経営者様は

より早く完済したいという気持ちから繰り上げ返済することも多いです。

 

財務の視点で考えると借入を減らすほうが当然、財務の内容は改善されていき、

支払利息のコストも比例して下がることにより悪いことではないでしょう。

 

企業側と観点で考えれば財務改善ができる方法であると思えるわけですが、

あくまでそれは現預金が潤沢である「今」のことであり、

「将来」を見据えているケースは非常に少ないです。

 

「将来」というのは現在取引関係にある金融機関のことです。

次に貸し手である金融機関の視点に立って考えてみましょう。

繰り上げ返済を借り手である会社からされたらどのように感じるでしょうか?

最近では企業の返済負担が多い中、金融機関でも回収について課題となっていることも考えられますが

預金が多ければ借入を減らしたい気持ちもわからなくもない。

 

しかし、

「経営環境の変化に備え、借入の返済をしないほうがコストはかかるがキャッシュアウトは抑え、

資金繰りは安定するのではないか」

と考えるのが一般的です。

 

債務者から「返済したい」と言われれば、

断わることができないため繰り上げ返済を認めることになります。

 

しかし、なぜ自分の銀行を返済するのか?

 

今後融資をしても長く取引してもらえないのではないか、

といった関係から銀行との関係が希薄となる可能性もあり得ます。

 

中小企業が経営環境の変化に対応していくためには「手元資金確保」が鉄則です。

手元資金があれば様々な選択肢があり、対策を講じることが出来ます。

 

借入金を減らすことを「NG」とまではいきませんが、

融資にはその期限内に分割で返済をする権利を借り手である企業が有しているため無理に返済せず、

事業の運営や利益確保のために現預金を優先して使うべきだと考えます。

 

繰り上げ返済を検討される場合は今だけでなく、今後のことも検討した上でご決断ください。

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