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2024年04月26日経営支援コラム

滞納処分とは?税金、社会保険料を滞納するリスクと滞納処分への対応方法を解説

資金繰りが厳しい企業は、税金や社会保険料などの公租公課を滞納することがあります。

公租公課の滞納は延滞金の発生だけでなく、企業の存続を左右する事態となるリスクがあるため、

適切な対応が必要です。

 

 

滞納処分とは

滞納処分とは、税金や社会保険料などを期日までに納付しない場合に、

納付すべき会社の財産を差し押さえて、

差し押さえた財産を競売で強制的に売却し納付に充てるなどの一連の手続きのことです。

 

滞納処分は法律によって定められた手続きであるため、拒否することができません。

 

滞納処分により差押えや競売の対象となる財産の主な例は下記のとおりであり、

会社の財産の全てが対象となります。

 

・銀行預金口座

・不動産

・自動車、建設機械など

・売掛金

・電話加入権 等

 

 

滞納処分までの流れ

税金などを滞納しても即座に差押えされるわけではなく、督促などが先行します。

滞納処分の一般的な流れは下記のとおりです。

 

【1.納税通知書の発送】

税務署や役所などから納税通知書が送られてきます。

 

【2.督促状、警告】

法定納期限を過ぎても納付しない状態が一定期間経過すると、

督促状が送られてきます。

督促状が発送される時期は税金の種類によって異なり、

固定資産税は20日間、国税の場合は50日間以内とされています。

市区町村などによっては赤い封筒に入った督促状が送られてくることがあります。

地方税の場合は督促状の「発送日から10日を経過した日まで」の納付が必要とされています。

この10日を経過した日を過ぎると差押えとなる可能性が高まります。

 

【3.財産調査、捜索】

督促状や電話による督促によっても納付できない状態が続くと、

税務署や市区町村が会社の財産を調べることとなります。

場合によっては徴税担当者が自社へ来社し強制的に財産調査を行うことがあります。

 

【4.差押え】

財産調査により判明している会社の財産について差押えが入り、処分できなくなります。

また差押えの事実は、預金の場合は銀行へ、

不動産の場合は所有者や抵当権を設定している金融機関へ通知されます。

売掛金や家賃収入についても差押えの対象となるため、会社への入金が絶えることとなります。

 

【5.価処分】

差押えの対象となった財産は強制的に売却され、

売却収入は税金などの返済へ優先的に充てられます。

参考:国税庁 国税を納期限までに納付することができない場合には

 

 

税金、社会保険料を滞納し続けるとどうなるか

税金や社会保険料を滞納し続けると経営上の大きなデメリットが発生し、

最終的には経営を維持できなくなります。

 

【延滞金の発生】

法定納期限を超えた日数に応じて、納付の日までの延滞金が発生します。

延滞金も税金の一部と同じ扱いを受けるため納付が必要です。

また税金などを管轄する役所が時効管理するため、

時効による免除は期待できず、破産の際も税金は免除されません。

 

【社員の士気低下、離職の増加】

税金や社会保険料を滞納すると、会社へ督促状が送付されてきます。

市役所などによっては督促状の封筒の色が赤色など特徴的であるため、

督促状を目にした従業員に延滞の事実を知られることがあります。

また財産調査が行われると、延滞の事実が社内でわかってしまうことがあります。

税金や社会保険料の未納は会社の資金繰りが相当に悪化しているためであると知られているため、

従業員の士気が低下する、離職が発生するなどの影響があります。

 

【銀行借入ができなくなる】

未納による差し押さえがなされると、預金口座を動かせなくなります。

また入金されたお金は滞納している税金などの返済へ充当されます。

差押えは預金を預けている金融機関へ通知がなされるため、

金融機関が業績不振を知り、追加の融資が困難となる可能性が高くなります。

 

【取引先からの信用の悪化】

売掛金を差押えされると、売掛金の相手先である取引先へ通知されます。

このため取引先が自社の経営不振を把握し、取引上の信用が低下します。

 

【資産を使えなくなり、倒産に至る】

不動産や営業用の車両などを差押えされると処分できなくなります。

また預金口座の差し押さえにより支払う資金も動かせなくなり、支払を停止することとなります。

 

【(会社)倒産した場合、保証人の債務へ影響する】

最終的に会社が破産することとなった場合、返済義務は消滅します。

ただし経営者が連帯保証している場合は、

破産するときに未納となっている税金などの返済が優先されます。

このため未納している分、その他の借入などの返済が少なくなります。

つまり間接的に保証人となっている経営者の返済義務が増えることとなります。

 

【(個人事業主)破産しても支払義務が残る】

個人事業主の場合、破産しても税金などの租税債権は免責されません。

破産および免責を受けた後も支払義務が残ります。

 

 

督促状が来た場合、滞納している場合の対処法

税金などの督促状が来た場合や未納がわかっている場合は対応を急ぐ必要があります。

 

【期日の延期または分納】

まず、納付の意思があること、納付が可能となる時期や、

一括納付が難しい場合の分割納付の金額などを相談します。

 

【換価の猶予、納付の猶予】

猶予制度とは、期限内に納付が難しい場合、最長1年以内で分割して納付することができる制度です。

猶予が認められると、その間の延滞金が少なくなります。

(国税の場合は年8.7%が年0.9%となります)

 

猶予制度は「換価の猶予」と「納付の猶予」の2種類があります。

業績不振などの理由の場合は、「換価の猶予」を申請することとなります。

 

〈換価の猶予〉
換価の猶予とは、納付により事業を継続できない可能性が高い場合に、

差押えの猶予または解除、換価処分を猶予してもらう制度です。

国税の場合における換価の猶予の条件は次のとおりです。

引用:国税庁 国税の猶予制度FAQ

 

〈納付の猶予〉

納付の猶予とは、災害などの理由で納付できない時に申請することで認められる措置です。

納税猶予が認められると差押えや換価処分を受けなくなります。

引用:国税庁 国税の猶予制度FAQ

 

【分納は確実に行う】

換価の猶予によって納税を分割して納付する場合であっても、

新たに納期限が到来する税金などについては納付を求められます。

したがって、新たに発生する納付に分納する額を加えて支払う必要があります。

分納が遅れた場合、分納額の増額を求められるほか、差押えに移行する可能性が高くなります。

 

【資金調達を検討する】

公租公課を未納している間は、

一部の納税証明書の発行が困難となるまたは明記されるなどの影響があります。

また延滞金も発生し続けるため、資金を調達して一括納付することを検討します。

銀行借入が難しい場合は、売掛金を期日前に現金化するファクタリング、

不動産やトラックなどのリースバックなどによる資金調達を検討します。

 

【専門家を活用する】

自社で支払いできる分納額の検討や今後の資金繰りの改善策の検討、

納付のための資金調達の相談などは、信頼できる専門家の活用が有効です。

弁護士や税理士だけでなく、資金調達や資金繰りの改善に詳しいコンサルタントなどが考えられます。

 

 

とめ

税金や社会保険料の滞納が続くと経営を維持できなくなる可能性が高くなります。

資金繰りが厳しく、公租公課の支払が難しい場合は、

資金調達による資金繰りの維持と今後の改善が急務な経営状態です。

 

資金繰りの改善策の相談は、信頼できる専門家へ相談しましょう。

自社の経営と資金繰り改善の相談に親身に対応し、

経営者の改善意欲に寄り添う弊社専門家が貴社の経営見直しをサポートします。

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