お知らせ・コラム

2024年03月26日経営支援コラム

会社の資金繰りを改善する、借換えのメリット・デメリットと利用方法

中小企業の多くは利益よりも借入の返済が多い状態となっており、

資金繰りが厳しい原因となっています。

借入の元金返済を減らすリスケジュールは影響が大きいため、

借換え』により資金繰りを改善できる可能性があります。

 

 

融資の借換えとは

融資の借換えとは、現在返済している借入を新しい融資で完済し、

新しい借入の返済のみに乗り換えることです。

 

一般的な住宅ローンの借換えは金融機関ごと乗り換える方法ですが、

事業資金の場合は下記の2つの方法を指します。

 

・現在借入している金融機関と同じ金融機関からの借入によって、複数の借入口をまとめる方法

・借入している金融機関とは別の金融機関からの借入で返済し、乗り換える方法

 

 

銀行借入の借換えのメリット

金融機関からの事業資金を借換えするメリットは、

元金返済額を見直すことで資金繰りが改善するなどです。

主なメリットは次のとおりです。

 

元金返済額を少なくできる

複数口の返済を1口にまとめると返済金額を少なくすることができます。

金利が下がる可能性がある

現在返済している借入よりも、新たな融資の利率のほうがが低いときは、

借換えすることで支払利息が少なくなります。

返済管理をしやすくなる

借入口数が多い場合は返済管理に手間がかかります。

借換えで借入口数が少なくなると返済管理がしやすくなります。

 

会社への信用が低下しない

元金返済額を減らす方法としてリスケジュールがあります。

リスケジュールは現在の元金返済を減らす契約をすることです。

現在の借入返済が困難となっていることが前提となるため追加の融資が難しくなるなど、

金融機関からの信用が悪化する可能性があります。

借換えは新たな融資への乗り換えであるためリスケジュールとはならず、

借換えによって自社の債務者区分を引き下げられることがありません。

 

借換えのデメリット

借換えはメリットが多い資金繰り改善方法ですが、

デメリットが発生する可能性があります。

 

借換え融資の審査が必要

借換えは新たな融資が前提となるため、融資の審査に通る必要があります。

 

金利が上がる可能性がある

業績や金融情勢によって、既存の融資よりも新たな融資の利率が高いことがあります。

借換えによって金利が上がり、支払利息が増える可能性があるため、注意が必要です。

ただし、現在の借入が変動利率であるが今後の金利上昇を予測しており、

金利がやや高めとなる固定利率の融資へ借り換えする場合など、

支払金利が増えることを許容する判断もあります。

 

手数料や担保が必要となることも

返済する借入の繰り上げ返済手数料、

借換えの事務手数料などのコストが発生することがあります。

また信用保証協会の保証付き融資の場合は、

保証料の支払いが負担となります。

また借換えの際に自社の経営状態が悪化している場合は、

追加担保の提供を求められる可能性があります。

 

 

上手な借換え方法とは

資金繰りを改善させる借換えのポイントは次の2点です。

 

・現在の借入返済の残り期間よりも長期間の借換え融資を組む

・据置期間(利払いのみの期間)を活用する

 

借換えによる資金繰り改善効果の例は次のとおりです。

 

借換えによる資金繰り改善例1(追加融資なし)

【資金繰りが改善する借換え例1】

 

 

上記の場合における資金繰り改善効果は下記のとおりです。

 

・融資残高は同じ3,000万円であっても、元金返済額は借換え前の1,000万円から375万円へ減少

・据置期間を設けることで、据置期間中の元金返済1,000万円が0となる

 

借換えによる資金繰り改善例2(同時に追加融資あり)

借換えとともに追加融資を同時に実行する場合の例です。

【資金繰りが改善する借り換え例2】

 

 

このパターンでは次の3つの資金繰り改善効果があります。

 

・借換えと同時に追加融資2,000万円を受け、資金不足を補填可能

・追加融資2,000万円を受けても、元金返済額は借換え前の1,000万円よりも減り625万円へ

抑えることが可能

・据置期間を設けることで、据置期間中の元金返済1,000万円が0となる

 

 

業資金融資を借換えするときの注意点

事業資金の借り換えの際に、経営者が注意しておくべき点は次のとおりです。

 

借入していた金融機関との関係

借換えによって金融機関を乗り換えする場合、

もともと借りていた金融機関との融資取引が無くなる、

あるいは急激に融資取引が減ります。

融資取引がなくなった金融機関とは疎遠となることが多くなり、今まであった提案がなくなる、

取引先の紹介などのサービスを受けられなくなるなどのリスクが想定されます。

借換えによる取引金融機関の乗り換えは、返済条件だけでなく、総合的な判断が必要です。

 

信用保証協会の借り換え

信用保証協会の保証付きの借入を借換える場合は、

保証枠によっては借り換えできないなどの制約が発生することがあります。

また超長期の保証付き融資へ借換えする場合、

保証制度によっては伴走支援型のモニタリングが必要となることがあります。

 

日本政策金融公庫の借り換え

日本政策金融公庫からの融資で銀行などの融資を返済することは使途違反となり、

全額返済を求められることとなります。

日本政策金融公庫の借入を公庫自体の借入で借換えすることは可能です。

公庫融資の借換えは借換特例制度、現貸決済融資制度です。

融資制度の組み合わせによっては借換えできないこともあるため、

窓口で相談したほうが良いです。

 

おまとめローンによる借り換え

ノンバンクなどからの融資によって借換えする、

おまとめローンの借入という方法があります。

おまとめローンは融資限度額が大きくなるため手数料(借入利率)が低くなることが一般的ですが、

場合によっては現在の借入よりも利率が高くなるケースがあること、

融資手数料が発生する可能性があることに注意が必要です。

 

事業資金の借換え方法と審査のポイント

借換えをうまく活用することで資金繰りを改善させることが可能です。

借換え融資の手続きと審査のポイントは次のとおりです。

 

銀行借入の借換えの流れ

借換え融資の流れは、通常の融資の審査とほぼ同じです。

最も重要な点は、どの借入を、何年間の融資で借換えするかです。

 

借換え融資の流れは次のとおりです。

・自社の資金繰りと返済見通しの確認

・取引金融機関への借り換えの相談

・借換えする借入口、借り換え融資の返済期間などの条件の交渉

・借換え融資の審査

・借換えを実行(新たな融資の実行と従前の借入の返済を同時に行う)

 

借換えを検討したいタイミング

借換えを検討することに適したタイミングは主に次のとおりです。

・業績が好転している、今後の業績改善が見込まれる時期

・決算や次期の事業計画を作成するとき

・借入利率の引き上げ要請、変動利率の借入の利率が改定されたとき

 

足元の資金繰りを固める

借換え融資であっても審査に時間がかかることがあります。

審査期間を考慮して、まず足元の資金繰りの見通しをつけることが優先されます。

 

業績や返済の見通しを説明する

借換えによっても今後の元金返済は必要です。

また、より長期の借入の審査はより厳しくなる可能性があります。

今後の返済見通しを金融機関へ説明するためには、試算表、今後の事業計画、

資金繰り表などの提出を求められることが多くなります。

 

専門家を活用する

借換えの際は、長期の事業計画や資金繰り表の作成だけでなく、

信用保証協会の保証枠に関するノウハウが重要となります。

また借換え以外の資金繰り改善策を検討するためにも、

社内では相談しにくい資金繰りについて相談可能な、

信頼できる専門家が経営者の強い味方となります。

借換え以外の資金繰りを改善する方法

資金繰りを改善する方法として、借換え以外にも資金調達などが考えられます。

借換え融資の審査に時間がかかり、資金不足となる場合などは資金調達を優先します。

 

追加融資

新規の運転資金融資で資金不足を補填する方法ですが、

追加融資の元金返済が増えることとなります。

 

ファクタリング

資金繰りが厳しい主な理由の1つとして、売掛金の入金までのタイムラグがあります。

売掛金は期日前にファクタリングにより現金化することが可能です。

借入を増やすことなく資金繰りを改善させることができます。

 

リスケジュール(リスケ)

現在の借入の元金返済を減額する手続きのことです。

元金返済額を0とすることも可能ですが、利息の支払は必要です。

リスケジュールは現在の借入返済を継続できないことが前提です。

リスケジュールにより自社の信用が低下する可能性があるとともに、

リスケ期間中は追加借入ができないことが多くなります。

 

 

まとめ

借換えによって借入の返済条件を軽くし、資金繰りを改善させることが可能です。

 

効果的な借換えは、今後の業績見通しの説明など事前準備が大切です。

また制度や条件によって借換えできないこともあるため、

資金繰り対策に詳しい専門家へ相談することが望ましいです。

 

会社の生命線である資金繰りに関する相談は、

親身な相談で経営者とともに伴走する弊社専門家へお気軽にご相談ください。

 

 

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