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2024年01月09日経営支援コラム

債務超過会社、連続赤字会社は倒産予備軍。債務超過、赤字からいち早く脱却する方法を解説

債務超過や連続赤字の会社は倒産予備軍といわれています。

債務超過や赤字は資金ショートによる倒産の予兆であるからです。

債務超過や連続赤字からいち早く脱出するためには、

財務面と継続して利益を計上できる収支への変革が必要です。

 

債務超過会社、赤字会社となった場合の問題

債務超過または連続して赤字を計上している会社は業績不振の代表例です。

債務超過や赤字の会社は資金調達が難しくなる、資金が減ってゆくなど、

倒産に結び付く危険性が高いためです。

 

債務超過会社とは

債務超過とは、資産よりも負債が多い財務状態を指します。

大幅な赤字や連続して欠損を計上すると純資産(自己資本)の合計額がマイナスとなります。

この状態を債務超過といいます。

 

 

赤字会社とは

赤字会社とは儲けがでていない会社、

より正確には損益計算書の利益がマイナスとなっている会社を指します。

損益計算書の利益は4種類あり、売上総利益営業利益経常利益当期純利益です。

この4種類の利益の違いは次のとおりです。

 

・売上総利益

売上から仕入原価を引いた利益です。商売の利ざやを示しています。

売上総利益がマイナスの場合は、売り買いで利益が出ていない状態です。

 

営業利益

売上から仕入原価と経費(販売費および一般管理費)を引いた利益です。本業による儲けを指します。

営業利益がマイナスとなっている会社は、本業で利益が出ていない状態です。

 

経常利益

本業と本業以外の営業外損益を加えた利益であり、会社全体の利益を表します。

営業利益から支払利息を差し引いてマイナスとなっている場合は、

本業による利益で利息の支払ができない『ゾンビ企業』と呼ばれる状態です。

 

当期純利益

一時的な利益や損失を加減した結果の利益です。

決算期間を通じた年間での会社全体の利益を示します。

事故や災害による損失など一過性の損失による赤字の場合はさほど重要視されないことがあります。

 

上記のとおり、問題視される赤字とは、営業利益や経常利益の段階での赤字です。

本業で利益が出ない体質となっている可能性が高いためです。

特に、営業利益と経常利益に減価償却費を足し戻ししてもマイナスの場合は、

抜本的な立て直しが必要な状態であるといえます。

 

なお赤字企業が直ちに潰れるわけではありません。

赤字会社がなぜ潰れないのか、その理由は支払にあてる資金が確保できている、

すなわち資金調達ができているからです。

 

資金繰りが悪化する

赤字の会社は資金繰りが悪化しています。

収入よりも支出が多いため資金が減少してゆき、やがて資金ショートし経営が行き詰まります。

 

債務超過の問題点は2つです。

 

1つめは資金繰りの悪化です。

債務超過とは資産(財産)の合計よりも負債(借金)が多い状態であり、

借入金の返済が資金繰りの重荷となっている可能性が高いです。

 

2つめは資金調達が難しくなることです。

債務超過とは実質的に倒産に近い状態であると考えられるため、金融機関の審査が厳しくなります。

銀行など取引金融機関の融資条件が悪くなる

赤字会社は事業の利益が出ていない、つまり返済能力が乏しいと判断されるため、

追加の融資についての審査が厳しくなります。

特に2期以上連続赤字の場合は問題視される可能性が高まります。

 

債務超過の会社は既に資産の合計額以上の負債を抱えていると金融機関は判断します。

負債が一層増えることとなる融資については金融機関の審査のハードルが上がります。

 

赤字、債務超過ともに会社内の問題が顕在化した状態であるため、

金融機関が融資先を格付する債務者区分においても低い評価となります。

その結果、借入の利率が高くなる、長期での借入が難しくなる、

審査において事業の改善見通しの説明を求められるなどの影響が出ます。

 

仕入先が警戒する

信用情報などで債務超過や赤字などの情報が出回ると、

業績の悪化を仕入先が警戒する可能性があります。

 

債務超過の解消方法

債務超過は実質倒産企業とも呼ばれる状態であり、早期の解消が必要です。

特に『債務超過解消年数』(債務超過÷当期純利益=債務超過解消年数(年))が5年超の場合は、

金融機関の債務者区分が非常に厳しくなる可能性が高くなります。

債務超過を解消するための代表的な方法は次のとおりです。

 

利益の蓄積

当期純利益を黒字とすることで、徐々に繰越欠損金をなくす方法です。

債務超過を解消するまで時間がかかる可能性があります。

 

増資、減資

増資とは資本金を増額することです。

新たに株主からの出資を募ることで資本金、資本準備金が増加します。

 

減資とは資本金を減らすことです。減資した額で繰越欠損金を穴埋めすることができます。

減資により繰越欠損金を減らしたうえで増資する方法が一般的です。

 

 

役員借入金の振り替え

代表者やその親族からの借入金を返済しないままとしている場合、

この借入を増資(資本金)に振り替える方法です。

事前に増資額を振り込んでもらった後で借入を返済する方法と、

借入金を直接資本金に振り替える方法とがあります。

 

この方法は債務免除益や贈与税が発生する可能性があるため、

税理士と綿密に打ち合わせが必要です。

 

資本性劣後ローン

決算書上は借入金であるものの、

借入金の一定額を純資産として換算することができる特殊な融資です。

純資産として計算できるのは金融機関の格付時に限られます。

建設業の経営事項審査の点数、

産業廃棄物処理業の許可や優良認定における純資産の計算時においては

借入金のままとする取り扱いです。

 

 

債務免除、DDS

債務免除とは借入金の返済を受ける権利を放棄してもらうことです。

会社においては債務免除益を計上することができ、借入金も減りますが、

金融機関の合意を得るハードルは相当に高くなります。

 

DDSとは、会社の借入を資本とみなすことができる借入へと変更する方法です。

現在の借入金を資本性劣後ローンへ切り替えるイメージです。

 

 

資産売却

簿価よりも時価が高い資産を売却し、売却益を計上する方法です。

売却を検討できる資産は不動産だけでなく、有価証券、トラック、建設機械などがあげられます。

 

車両など売却後も引き続き自社で使用したい場合は

(セールス・アンド・)リースバックを検討します。

リースバックとは、売却後も継続して自社が利用(賃借)することが可能です。

リースバックには、売却益を計上できる場合がある、まとまった資金を確保できる、

資産効率が改善するなどのメリットがあります。

 

 

赤字の解消方法

赤字の解消方法は、収入を増やす支出の抑える、の2つのみです。

収入の多くを占める売上を増やす方法、

さまざまな経費支出を削減するときの考え方は次のとおりです。

 

 

売上を増やす方法:販売価格の見直し

売上を増やす方法の1つは販売価格の見直しです。

販売価格の引き上げは利益の増加に直結します。

販売価格を上げる方法として次の例があげられます。

 

・販売価格(販売単価)を値上げする

コスト高が広まっている時期は、販売価格の引上げを交渉しやすいタイミングです。

 

・販売する商品、サービスの付加価値を高める

今までよりも質を高めることで、より高価格の商品・サービスを提供する方法です。

原料などの素材から見直す場合や納期など付随するサービスで差別化する場合などがあります。

 

 

売上を増やす方法:販路の見直し

売上を増やす方法として、販売する相手(場所)を見直す方法があります。

例えば次の例があげられます。

 

・新たな販売先を見つける

・以前取引があった販売先への納品を再開する

・商社経由で販売していた商品を、ECサイト上で消費者へ直販する

・越境ECサイトを利用して海外の顧客向けに販売する

 

経費削減はムダ取り、コストパフォーマンスから考える

経費の内容を洗い出して、無駄な支出がないかを検証します。

着眼点は収益に直結していない経費や固定費を見直すことです。

自社のビジネスモデルを理解している専門家に、

同業平均や時系列での比較などから客観的に指摘してもらうことが有効です。

 

主な経費削減策は次のとおりです。

・従来と異なる仕入先からの購買による仕入れコスト削減

・人員配置の見直しによる人件費削減

・電力、ガスの契約プラン変更、LED照明への切り替えによる水道光熱費の削減

・固定電話の回線数の削減

・不要なシステムやアプリケーションのライセンス契約の解約

・反応が薄い広告宣伝の廃止

・在庫保管量の見直しによる原価と倉庫料の削減

・オンライン会議、オンライン展示会への変更による交通費のカット

・法人カード(クレジットカード)導入による管理コスト削減とキャッシュバックの利用

 

 

まとめ

債務超過や連続赤字は企業の倒産の予兆です。

赤字経営が続くといずれ資金が不足し、債務超過となると資金調達が難しくなり、

やがて倒産に至る危険性が高まります。

 

債務超過や赤字から健全な経営に戻すためには、財務体質や収支構造、

自社の強みなどを理解したうえで有効な改善策を一緒に考えてくれる、

信頼できる専門家が頼りとなります。

 

赤字経営からの立て直し策、資金繰りの改善や金融機関との交渉の準備などにお悩みの経営者様は、

経営者とともに歩む弊社専門家へお気軽にご相談ください。

 

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