2023年10月24日経営支援コラム
人手不足、コスト高を生き抜く中小企業が活用したい5つの補助金と採択のポイント
人手不足・コスト高に見舞われている中小企業が利益を確保するためには、
生産性の向上や新製品の開発などが必要です。
中小企業の経営改善のための投資を支援する多数の補助金の中でも
利用しやすい補助金が5つあります。
補助金を受給するためには審査で採択される必要があるため、
補助金申請が採択されるポイントを理解した専門家の活用が有効です。
いま中小企業の経営者が活用すべき、おすすめの補助金5選と採択されるポイント4つ
人手不足、コスト高など厳しさを増す経営環境において中小企業が生き残るためには、
新製品開発や新分野への進出、生産性の向上などで利益を確保できる企業体質となることが必要です。
自社の収益改善に必要な投資に投入する資金は補助金の受給を検討します。
数多くの補助金の中から、専門家がおすすめする補助金5選と採択されるためのポイントを解説します。
補助金とは
補助金とは、国の中小企業支援政策に合致する取組みを行う企業を支援するために、
取組みに必要な資金の一部を国が給付する制度のことです。
国以外に、都道府県や市区町村が支給する補助金もあります。
補助金は、どの企業も受給できるわけではありません。
企業からの申請をもとに、審査を通過(採択)した企業だけが受給することができます。
補助金を受給するメリット
補助金のメリットは『事業に必要な資金の一部が受給できる』こと、
審査書類の作成を通じて『自社の課題と取り組むべき課題を整理し実行する』ことです。
事業費の一部を受給できる
補助金の支給対象として認定された事業に必要な資金の一部を、補助金として受給することができます。
受給対象となる範囲や金額、補助率などは制度により異なります。
補助金は、機械の購入などを行った後に支給される後払い方式が原則です。
また投資や事業計画を中止した場合、
購入したものを売却した場合などは補助金を返還する必要があります。
具体的な期間はそれぞれの補助金の決まりによりますが、
補助金対象の期間が終了する会計年度(決算期)の末から5年間または減価償却期間は、
売却などに事前の承認と補助金の返納が必要となる可能性があります。
この期間(処分制限期間)を経過した後は事前の承認がなくとも売却などが可能です。
自社の課題の再確認、今後の対策を整理できる
補助金を申請する際に提出する書類について、多くの補助金においては次の事項を記載します。
■自社の現状と課題
■市場環境や機会の分析
■課題を解決するための具体的な対策
■対策に取り組んだ後の効果
これらを作成する過程で、外部環境を踏まえて自社が取組むべき課題を整理し、
解決に取り組んだ結果となる売上や利益などを計算する必要があります。
補助金の申請書類の作成は自社を見直し、改善策を練る機会となります。
いま中小企業が活用すべき、おすすめの補助金5選
人手不足対策のためのDX化、利益率が高い新製品開発などが対象となる、
中小企業支援の専門家がおすすめする補助金制度5つを紹介します。
事業再構築補助金(サプライチェーン強靭化枠を除く)
■概要
新分野への進出や業種転換などを支援する補助金です。
第10回公募までの累計申請件数167,299件、採択件数は76,224件にのぼる大型補助金の1つです。
事業再構築補助金の平均採択率は45.6%(第10回まで)、
直前の第10回公募における採択率は48.1%です。
難易度がそれほど高い補助金ではありませんが、6種類の補助枠により採択率が異なります。
■補助率、補助上限額
補助率は最大で3/4、補助上限額(中小企業)は最大2億円ですが、補助枠や従業員数などにより異なります。
■補助対象
対象となる事業費(事業に必要となる使い途)は、建物、機械、システムなどのほか、
外注費や広告宣伝費、従業員の訓練費などが含まれます。
■申請時は、認定経営革新等支援機関による計画書の確認が必要です。
■成長枠(旧 一般枠)については業種制限があります。
小規模事業者持続化補助金(一般型)
■概要
賃上げやインボイス制度導入などの社会的な変化を受けて、
小規模企業が取り組む販路開拓などを支援する補助金です。
補助額は少なめですが、平均採択率は60.9%(第12回までの合計)と高めです。
補助枠は通常枠と特別枠4つの5種類があります。
通常枠の申請件数は第12回までの累計で145,950件、採択件数は累計88,812件にのぼります。
引用:中小企業庁 小企業企業支援より集計
■補助対象
機械装置のほか、広告宣伝費や旅費、展示会出展費なども対象となります。
■補助率、補助上限額
補助助率は最大3/4、補助上限額は最大250万円です。
引用:中小企業庁 小規模事業者持続化補助金拡充リーフレット(2023年9月版)
ものづくり補助金
■概要
正式名称は『ものづくり・商業・サービス補助金』であり、製造業以外に小売業や宿泊・飲食業なども対象です。
ものづくり補助金の平均採択率(第1次から直前の第15次公募までの合計)は52.7%です。
■補助対象
生産管理システムや高効率の機械装置の導入、新製品の開発のための投資などが対象です。
■補助率、補助上限額
補助率は最大2/3、補助上限額は最大5,000万円と高額の補助を受けられる点が特長です。
引用:ものづくり補助金事務局 ものづくり・商業・サービス補助金 公募要領概要版(2023年7月28日更新版)
IT導入補助金
■概要
業務効率化や売上増加のためのソフトウェア投資、PCやタブレット、決済端末などが対象となります。
■補助対象
インボイス制度や電子帳簿保存法に対応するための会計システムや受発注システム、
情報セキュリティ投資などが主な補助対象です。
補助枠3種類のうちデジタル化基盤導入類型については、
PCやタブレット、決済端末などのハードも補助対象となります。
■補助率、補助上限額
補助率は最大3/4、補助上限額は最大450万円です。補助上限額は補助枠や使い途により異なります。
引用:中小企業庁 IT導入補助金リーフレット(2023年8月時点版)
事業承継・引継ぎ補助金
■概要
以下の3つの補助対象があります。
・経営革新事業
事業承継やM&Aにより経営を引き継ぐとともに、新製品開発など新たな取組みを実施する企業が対象です。
マーケティング費用や外注費なども助成対象となります。
引用:事業承継・引継ぎ補助金事務局 第7次公募パンフレット(全体)
・専門家活用事業
M&Aの際に負担となる専門家への費用が補助対象です。
M&A支援機関登録制度に登録された専門家への報酬費用のみが補助対象です。
引用:事業承継・引継ぎ補助金事務局 第7次公募パンフレット(全体)
・廃業、再チャレンジ事業
会社自体を廃業した後に新たに会社や個人事業を開始することが対象です。
対象は廃業費用、解体費、移転費用などです。
M&Aにおける売手として成約できなかった場合の『再チャレンジ申請』と
上記2事業のいずれかと併用する『併用申請』の2種類があります。
引用:事業承継・引継ぎ補助金事務局 第7次公募パンフレット(全体)
■補助率、補助上限額
補助率は最大3分の2、補助上限額は最大800万円です。
3種類の補助事業により異なります。
補助金申請で採択される(審査にとおる)ポイント4点
補助金は、要件を充たした企業が必ず受給できるわけではありません。
所定の期間内に要件を充たした申請書を提出し、
交付候補者として採択される(審査にとおる)ことが必要です。
補助金申請が採択されるために、押さえるべき主なポイントが4つあります。
制度の趣旨を踏まえた申請書を作成する
補助金申請が不採択となる理由は、書類の不備と内容の不足の2種類です。
内容の不足とは、事業計画の内容が申請する補助金の指針に合致していない、
あるいは事業としての分析や見通しが甘いなどです。
例えば、事業再構築補助金は審査項目として「事業化点」「再構築点」「政策点」があります。
事業見通しが甘い、既存の事業の延長線に過ぎない、
地域への波及効果が少ないなどの場合は不採択となります。
加点措置を活用する
補助金の一部の精度は、所定の条件を充たす会社について
審査の点数を上乗せする『加点措置』があります。
例として、ものづくり補助金においては加点措置1つごとに採択率が約10%上昇しています。
申請前に自社が該当する加点項目の有無を確認しておきます。
また加点項目となる経営革新計画を先に取得しておくなど戦略的な準備が有利となるため、詳しい専門家への相談が効果的です。
専門家との協働がおすすめ
補助金申請書類を自社の独力で作成することも可能ですが、
専門家の支援を受けることがおすすめです。
例として、ものづくり補助金の申請においては専門家の関与は任意ですが、
専門家の支援を受けている割合は72.7%(第12次から第15次公募までの合計)を占めるとともに、
採択率が10%以上高くなっています。
中には過剰な報酬を要求する専門家がいるといわれているため、
高額すぎない報酬で自社の相談に親身に対応してくれる専門家を選ぶことが無難です。
PMGは経営者さまごとに受給可能性がある補助金を紹介いたします
公的な補助金や助成金などは約8,000種類あるともいわれています。
加えて制度ごとに要件が細かく定められており、要件の見直しも随時行われています。
多忙な経営者が自社で受給できる可能性がある補助金などを、
漏れなく確認することは至難の業です。
自社で受給可能性がある制度を探す時は、専門家を活用しましょう。
一般に公開されている検索ツールはあるものの、
制度改正に対応していない場合や検索漏れなどの可能性もあります。
また確認後、具体的に相談するほうが早くスタートできます。
専門家が個社ごとに調査した結果を報告してくれるほか、
実績がある支援機関と連携しているPMG Partnersのような親身なサービスの利用が効果的です。
まとめ
補助金制度は種類が非常に多いうえ、要件が細かい、
採択される申請書の書き方にはポイントがあるなど、
経営者が独力で作業するには負担が重くなります。
補助金などの支援施策の受給漏れをなくすためには、
自社のことを本当に考え、
親身に寄り添ってくれる弊社のような専門家への相談が経営者の投資をサポートします。