2023年07月20日経営支援コラム
コロナ以降で事業の立て直しを図ろうとしたら ゼロゼロ融資の返済が開始してしまった際の対応(社会保険編)
【社保の支払いが困難になっている経営者向けの社保の支払い遅延対応(換価の猶予)とは】
今回はコロナ融資返済やコロナによる業績悪化により社会保険の支払いが困難になっている経営者向けに
社会保険の支払い対応について弊社の専門家が記載していきます。
社保倒産の怖さ
政府は新型コロナウイルス禍からの経済立て直しのため、潤沢な財政出動やゼロゼロ融資などで中小企業の経済活動を下支えしてきました。
コロナ以降、これから多くの企業がゼロゼロ融資等の返済期限を迎える中で、
資金繰りに問題を抱えてしまう企業が増えていくのではないかとの懸念もあります。
しかし、実際にはより大きなリスクとして「社保倒産」という問題があります。
これは社会保険料の返済に関するものです。社保滞納は絶対カットできない債権です。
ですから社保倒産となった事業者は破産、解散、つまり『清算型倒産』に追い込まれ、事業が存続できないケースがほとんどです。
社保倒産というのは極めて厳しい倒産になります。
税金の支払いが困難になっている経営者向けに税金の支払い対応(換価の猶予)とは
中小企業などの事業者が「健康保険・介護保険」「厚生年金保険」「雇用保険・労災保険」の主に三つに関して納付することが義務付けられています。
社会保険料の中でも最もコスト負担が大きいのが「厚生年金保険」といわれていて、人件費のうちのおよそ2割が厚生年金保険料といわれています。
文字通り、社会保険料の中でも最も負担が多いコストと言われています。
そして社保滞納の難しいところは私的整理を実行することが難しいところにあります。
私的整理の実行が難しい場合、事業者は法的整理、つまり倒産となります。
いざというときに最も厳しいのが社保で、国税、自治体よりも取り立ては激しく厳しいのが現状です。
換価の猶予をもらえる条件など
日本年金機構によると「換価の猶予」とは、厚生年金保険料等の納付が一時的に困難となった場合に、
申請要件の全てに該当するとき認められる制度のことを指すそうです。
以下の5つの要件を満たすことが必要になります。
(1)厚生年金保険料等を一時的に納付することにより、事業の継続等を困難にするおそれがあると認められること
(2)厚生年金保険料等の納付について誠実な意思を有すると認められること
(3)納付すべき厚生年金保険料等の納期限から6カ月以内に申請されていること
(4)換価の猶予を受けようとする厚生年金保険料等より以前の滞納または延滞金がないこと
(5)原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保提供があること
新型コロナウイルス感染症の影響により厚生年金保険料等の納付が困難な場合
弊社の専門家調べによれば以下の通りです。
厚生年金保険料等を一時に納付することにより、事業の継続等を困難にするおそれがあるなどの一定の要件に該当するときは、
納付すべき保険料等の納期限から6ヶ月以内に管轄の年金事務所へ申請することにより、換価の猶予が認められる場合があります。
また、令和3年2月26日をもって申請期間を終了した納付猶予特例を受けていた事業主の方など、
新型コロナウイルス感染症の影響により厚生年金保険料等の納付が困難な場合は、猶予制度を受けられることがあります。
上記の通常の換価の猶予と違い、国税、地方税または労働保険料等の猶予申請をした場合、
その際の申請書や財産収支状況書等の写しを添付することで、一部の記載や書類の添付が省略できます。
また、申請年月日以降に納付期限が到来する保険料(最長2カ月分)について猶予制度を受けられることがあります。
納付の猶予
次のいずれかに該当する場合であって、厚生年金保険料等を一時的に納付することが困難な時は、
管轄の年金事務所を経由して地方(支)局長へ申請することにより、納付の猶予が認められる場合があります。
(1) 財産について災害を受け、または盗難にあったこと
(2) 事業主またはその生計を一にする親族が病気にかかり、または負傷したこと
(3) 事業を廃止し、または休止したこと
(4) 事業について著しい損失を受けたこと
また、「1.換価の猶予」または「2.納付の猶予」が認められると、
■ 猶予された金額を猶予期間中に各月に分割して納付することになります。
■ 財産の差押えや換価(売却等現金化)が猶予されます。
■ 猶予期間中の延滞金が一部免除されます。
まとめ
このように社保の滞納に関する取り立ては厳しいものが多く、事業者として必ず行わなければいけないので会社の資金繰りの状況に関しては、
常に財務経理部等と連携して厳密な把握が必要です。
コロナで社保の猶予が必要な事業者の方も、事前にその恐ろしさを理解するためにも弊社の専門家にお気軽に相談ください。
支払うべき債務であることに変わりはありませんので、資金繰りをどのようにすればよくなるか、
きちんと相談に乗れますので、頼りにしていただければと思います。