お知らせ・コラム

2023年08月29日経営支援コラム

コロナ融資(ゼロゼロ融資)の返済開始などで資金繰りが厳しくなった際の、銀行返済の猶予という対応(リスケジュール編)

 

リスケジュール(リスケ)とは借入の返済を減らすことです。資金繰りが楽になる反面、借入が減らないなどのデメリットもあります。リスケするためには、返済金額を減らしている間に経営状態を改善する計画を金融機関に説明し合意してもらう必要があります。

 

 

銀行返済が難しい時の『リスケジュール』による対応にはメリットとデメリットがあります

今回は、コロナ融資の返済開始など資金繰りが厳しくなっている方、銀行から追加の融資は難しいと言われている方向けに、『リスケジュール(リスケ)』の良い点悪い点と手続きを解説します。

 

 

リスケジュール(リスケ)とは

リスケジュールは略してリスケ、あるいは返済軽減(猶予)とも呼ばれます。

リスケとは、金融機関からの借入金について「一定期間」、「元金返済」を「減額またはゼロとする」手続きを指します。

リスケの目的は経営改善までの時間の確保です。返済金額を減らしている期間中は資金繰りの負担が軽くなるため、この間に経営体質を改善します。

 

リスケジュールで注意する点は下記のとおりです。

 

■一定期間が前提

リスケの多くは半年間または1年間で区切るケースが殆どです。

リスケ期間が終了する時は、それまでの返済金額に戻して返済する、またはリスケ期間を延長します。

 

■減らせるのは元金返済

利息の支払は必要です。融資の利率を引き下げてもらう交渉もありますが、成功率は高くはありません。

 

■金融機関(信用保証協会を含む)の承諾が必須

返済金額は、会社の経営状態や見通しに基づいて、金融機関と個別に相談して決定します。自社では元金返済をゼロにしたいと思っても、銀行から「月10万円の返済が必要」といわれることもあります。また金融機関ごとに不公平感が出ない返済条件とすることも必要です。

 

■金融機関ごとに手続きが必要

リスケを予定している借入の金融機関や信用保証協会ごとに申込みと手続きが必要です。

 

 

リスケジュールのメリット

リスケジュールのメリットは次のとおりです。

 

■元金返済額を減らせる

赤字または利益以上に返済している場合は、追加の融資がなくとも安定した返済ができます。

 

■資金繰りが楽になる

返済金額分のお金の支払いがなくなります。

 

■延滞扱いとはならない

金融機関が同意しているため、元金返済がゼロであっても延滞扱いとはならず、一括返済請求や競売などの手段を取られることもありません。

 

リスケジュールにはデメリットもあります

リスケ中は借入金が減らず、利息も少なくなりません。それ以外にも下記のデメリットがあります。

 

■手続きが必要

申込みと書類の提出や契約を行い、その次の返済日から返済条件が変わります。返済日が目前に迫っている場合は間に合わないことがあります。

また審査の結果、リスケできないこともあり得ます。

 

■追加融資が難しくなる

リスケ期間中は、原則として新規の融資は難しくなります。その理由は、リスケの基本的な考え方が「現状では借入金の返済が難しい状態だが、返済額を減らしている間に経営を改善する」ためであるからです。

またリスケ期間後に以前の返済条件に戻っても、しばらくの間は新規の融資が下りにくいケースが目立ちます。

 

■返済を減らした元金は後に返済

リスケ期間中に減らしていた元金は、リスケ期間終了後の返済額に上乗せして返済する、または最終支払時に上乗せして返済することとなります。

 

■改善計画書やリスケ中の業績報告

リスケの申込時に経営改善計画の提出を求められることが多くあります。

またリスケ後も定期的な業績報告が条件となることがあります。

 

■リスケに付帯条件が付く

リスケの条件として、追加の担保提供や連帯保証を求められることがあります。

 

 

リスケジュールの手続き方法

リスケジュールの手続きは次の流れとなります。

 

■経営状態の把握と資金繰りの見通しを確認する

試算表を作成し、現在の損益や借入の残高などを確認します。

同時に資金繰り表の作成などによって、資金繰りを予測します。いつ、どのくらいの資金不足となるかを把握します。

 

■リスケとそれ以外の選択肢を検討する

リスケはデメリットもあるため、他の対策と事前に比較検討しておきます。

例えば次のケースがあります。

 

(例1)事前準備があれば、追加融資が受けられたケース
経営改善計画書の提出などで審査に通ることもあります。
(例2)資金不足となる期間が短いケース
短期借入や売掛金のファクタリングなどで乗り切れる場合もあります。
(例3)借換で返済額を減らせるケース
借換とは、新規融資で返済中の借入を繰上返済し、借入を乗り換えることです。

 

現在の借入の残りの返済期間よりも長期間の融資に乗り換えることで、

返済金額を減らすことができます。

 

■リスケを申し込むための『経営改善計画書』『資金繰り表』を準備する

リスケの申込み時に金融機関から求められることが多い書類です。

経営改善計画書で今後の改善見通しを説明し、資金繰り表でリスケによる資金繰り維持ができることを説明します。

 

■金融機関と交渉する

金融機関に個別に説明し、合意を取り付けます。重要な点は以下の2点です。

・経営が改善する見通しがあり、その間のリスケであること

・各金融機関への返済金額が妥当であること
(全ての金融機関で一律とする、残高に応じて按分する、の2種類が主流です)

 

 

銀行への申し込みの前に弊社専門家への相談をおすすめします

多くの企業が利用したコロナ融資(民間ゼロゼロ融資)のうち2.3%が既にリスケ(条件変更)しています。またコロナ融資の元金返済はこれから本格化し、2023年7月に49,527件、2024年4月に51,423件が返済を開始します。(2023年3月末時点)(出典 中小企業庁 第10回金融小委員会

このため多くの金融機関はリスケ申込みの増加に備え、前向きに検討する姿勢にあります。

 

しかしながら、安易なリスケは企業の将来に影響するリスクがあります。

後で後悔することがないように、リスケを申し込む前に弊社などの専門家に相談することをおすすめします。その理由は次の2点です。

 

■第三者的な観点から意見を聞ける

経営者は資金繰りが忙しいと気持ちが焦ります。客観的に自社と真摯に向き合ってくれる社外の専門家の意見は有効です。

 

■リスケの準備をサポートしてもらう

経営改善策を立案する、改善効果を数値として表す、経営計画に落とし込むなど、経営者にとって負担がかかる作業が増えます。資金繰り表の作成に不慣れな経営者もいるため、専門家のサポートが効果的です。

 

 

 

まとめ

リスケジュールによって借入の元金返済額を減らすことで、資金繰りを改善することが可能です。

ただし、リスケ後の経営の自由度が減るなどのリスクもあることに加えて、経営計画書や資金繰り表を作成するなどの事前準備も必要となり、忙しい経営者に負担がかかります。

 

金融機関へリスケを申し出るべきか、どのような準備をしておく必要があるか、弊社のように経営者とともに歩む専門家への相談が経営者をサポートします。

PAGETOP