2022年07月15日スタッフブログ
事業承継時に焦点を当てた 「経営者保障に関するガイドライン」の特則〈令和元年12月発行〉を読んで
本特則の背景として中小企業、経営者及び金融機関において「経営者保証に関するガイドライン」が広く活用され、
経営者保証に依存しない融資の実現に向けた取組みが進むことで、円滑な事業承継、
ひいては中小企業金融の実務の円滑化を通じて中小企業の活力が一層引き出され、
日本経済の活性化の一助となることが期待されています。
この特則は中小企業庁・全国銀行協会・金融庁・日本商工会議所といった多くの官庁、協会により
公表されているものになり関係機関と連携しつつ、本特則の周知普及や積極的な活用促進を通じて
経営者保証に依存しない融資慣行の実現に取り組み、円滑な事業承継の促進を図るために作成されました。
なぜこのような特則を公表したのか紐解いていくと大きく二点があげられると思います。
1.後継者不足の企業が増えていく中で日本経済の衰退が見込まれる。
官庁・関係機関としては事業承継を進め経済を活性化させたい。
2.欧米と比べ日本では金融機関に対する経営者保証の負担が大きいため事業承継を行おうとする企業の足枷になっている。
私がこの特則を読んだ考察をまとめていきたいと思います。
この特則は2014年に始まったものですが、それ以前から日本の少子化への危惧がされていました。
少子化が進むと何が起きるのか。
経済の縮小が起きます。
経済の縮小が起きると税収が減り国力が低下します。
国力が落ちるとインフラが供給できなくなり、必要なソースを必要としている人々へ供給できなくなる可能性があります。
そうすると今はインフラが整い安全と言われている日本でも将来、全く姿が変わってしまうでしょう。
一例を出すと、仮に1万人くらいの人が住んでいる地域があったとします。
そこでは総合病院が5軒しかありません。
一年たつごとに一軒ずつ倒産していき、最終的に1軒しか残らなかったとします。
そこで暮らしている1万人の人々はどうするでしょう。
お金を持っている人であれば必要な医療を受けれる地域に引っ越すこともできます。
しかし裕福な人ばかりではありません。
必要な医療を受けれないまま亡くなられる方や医療を受けるために争いが起きるかもしれません。
インフラへの投資ができなければ争いを解決することも難しくなってくるかもしれません。
そして地方の過疎化が進み日本のきれいな景色やインフラは崩壊し住宅区域も減少し荒れた日本になるでしょう。
団塊の世代が後期高齢者である75歳以上となり日本に超高齢化社会が訪れます。
雇用や医療、福祉などさまざまな分野に影響を及ぼすとされる「2025年問題」が差し迫っており
この問題を放置するとどうなるでしょう。
実際に2017年12月には経済産業省と中小企業庁が、社長の高齢化や後継者難の現状を放置した場合には
2025年までに雇用やGDPなど多大な経済損失が発生すると試算しています。
区切りの年まで残り3年となるなかで後継者難倒産件数が過去最多となったことは、
こうした問題が今後一段と深刻になりかねないことを示唆しています。
一方で悪いニュースばかりではありません。
「経営者保障に関するガイドライン」の特則の積極的普及・活用によって明るい兆しも見え始めています。
帝国データバンクの調査では2021年の後継者不在率は61.5%となり、
依然として6割台と高水準にあるものの4年連続で低下し、調査を開始した2011年以降で最低となりました。
改善幅も3.6ptと大きく改善し、後継者不在の状況は徐々に快方に向かっている結果が表れました。
それに付随してMAの取引件数も調査開始以来右肩上がりで2021年1-12月の日本企業のM&A件数は4280件と、
2020年の3730件から550件、14.7%増加しました。
このような問題を解決するには経済の活性化が必須になってきます。
私は活性化の一役を担うのがM&Aという事業に他ならないと思います。
経営者様がわが子のように育ててきた会社は間違いなく社会にとって重要な役割を果たしてます。
その会社を10年、20年先へと継承していくことが自分の身の回りの奥様、子供、友人、ひいては日本全体のためになります。
事業承継に向けた様々な支援や推進を官民両方から行っておりその支援の一つが今回の特則(pdfファイル)ですが、
これ以外にもM&Aをするにあたっての補助金など多くの支援が行われております。
まずは皆様も主要機関が推奨している「経営者保障に関するガイドライン」の特則を一読して
活用し未来へバトンをつないでいきましょう。
飯吉 結太