2023年08月15日経営支援コラム
コロナ以降で事業の立て直しを図ろうとしたら ゼロゼロ融資の返済が開始してしまった際の対応
【税金の支払いが困難になっている経営者向けの税金の支払い遅延対応(換価の猶予)とは】
今回はコロナ融資返済やコロナによる業績悪化により税金の支払いが困難になっている経営者向けに税金の支払い対応(換価の猶予)について
弊社の専門家が記載していきます。
コロナ融資の返済で困ったらどうするか
まずは国や自治体の緊急融資制度、信用保証制度等をフル活用すること。
窓口に相談が殺到した場合、申込から融資まで時間がかかるため、それまでの期間の支払を止めることが重要です。
給付金や助成金(特に雇用調整助成金)は条件を満たし申請をすれば受給することが出来るため手元のキャッシュを厚くできるため
可能な限り受けることが大事です。
しかし、それでもゼロゼロ融資でコロナを乗り切ろうとしたものの、キャッシュフローの不足で
乗り切れないような事業者様もいらっしゃると思いますので、今回は税金の支払い対応にもフォーカスしていきましょう。
税金の支払いが困難になっている経営者向けの税金の支払い延期対応(換価の猶予)とは
国税の猶予制度は、一括に納税をすることにより事業の継続や生活が困難となるときや、
災害で財産を損失した場合などの特定の事情があるときは、税務署に申請することで、最大1年間、納税が猶予される制度です。
猶予制度には、1換価の猶予(国税徴収法第151条及び第151条の2)と2納税の猶予(国税通則法第46条)がありますので、
弊社の専門家や顧問税理士の方に聞いてみるのもいいでしょう。
この税金の支払いの猶予をもらえる条件など
1 国税を一括に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる
2 納税について誠実な意思を有すると認められる(⇦これが一番大切です)
3 猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がない場合は、納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請することにより、
換価の猶予を受けることができます。既に滞納がある場合や滞納となってから6月を超える場合であっても、
税務署長の職権による換価の猶予(国税徴収法第151条)を受けられる場合があります。
(場合によっては複数の税金滞納でも認められま す)
2 担保の提供が明らかに可能である場合を除いて担保は不要です。
換価の猶予が認められると、原則として1年間納税が猶予されます(状況に応じて更に1年間猶予される場合があります。)。また、猶予期間中の延滞税が軽減され、通常 年8.7%→軽減後 年0.9%(令和5年中の利率)になります。ほかにも財産の差押えや換価(売却)が猶予されます。
そのほかの個別の事情で適用される場合
次のような個別の事情に該当する場合は、以下のそれぞれの金額について、納税の猶予が認められることがあります。
(個別の事情の具体例)
1 新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した場合、
それらの再調達価額等に相当する金額
2 納税者ご本人又は生計を同じにするご家族が病気にかかった場合、医療費や治療等に付随する費用に相当する金額
3 納税者の方が営む事業について、やむを得ず休廃業をした場合、休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額
4 納税者の方が営む事業について、利益の減少等により、著しい損失を受けた場合、受けた損失額に相当する金額
納税の猶予が認められた場合の効果
弊社の専門家調べによれば以下の通りです。
■ 原則として1年間納税が猶予されます(状況に応じて更に1年間猶予される場合があります。)
■ 猶予期間中の延滞税が軽減(注)又は免除(通常 年8.7%→軽減後 年0.9%(令和5年中の利率)
■ 財産の差押えや換価(売却)が猶予されます。
具体的な実務上の手続き
①まずは、自社の担当税務署に相談に行ってください。
納税期日通りに税金の支払いが厳しいことが分かった段階で「早急に」相談に行くべきです。
早め早めに相談に行くと、優先的に対応してくれます。
一番ダメなのは「放置・無視」をすることです。
事前に相談に行くと、どのようにすべきかを親切丁寧に教えてくれます。
納税期日を過ぎて、どうしようもなくなった状態での税務署への相談は、対応が相当厳しくなります。
猶予に該当する事実があることを証する書類が必要です。
猶予に該当する事実(上記の「条件」欄を参照)についての支出が分かる領収証書などのコピー、
売上などの減少が分かる売上帳や預金通帳などのコピー提出は準備しておきましょう。
資金繰り予定表を提出するのがベストな対応です。簡単でいいので準備しましょう。(不明な場合は弊社専門家までご相談ください。)
猶予に該当する事実が「納税者の事業について著しい損失が生じた場合」である場合は、法人においては、直近2年度分の損益計算書、
個人においては、直近2年分の確定申告書のコピーを準備することが大事です。
担保提供は、猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合に必要となります。
ただし、猶予期間が3か月以内又はその他特別な事情がある場合は提供不要です。
地方税法により担保として提供できる財産の種類には、主に次のようなものがありますので、弊社の専門家や税理士に聞いてみましょう
① 国債や都税事務所長等が確実と認める上場株式などの有価証券
② 土地、保険に付した建物
③ 都税事務所長等が確実と認める保証人の保証
ただし、実務上は、仮に、担保提供できる資産があったとしても、換価猶予を受けようとする金額が比較的少額の場合や
(実務上500万円を超えた金額でも担保不要になるケースが多いです)、対象資産を売却して運転資金に充当する予定があるなど、
担保提供は出来ないと合理的に説明出来れば、ほとんどのケースで担保提供は不要としてもらえる場合が多いです。
書類の提出など
「徴収猶予」又は「換価の猶予」の申請書類を記入し、郵便等で所管の都税事務所等へ送付します。
郵送のほか、eLTAXによる電子申請が可能な点も重要です。
但し、可能な限り、直接、税務署の担当者へ手渡し、内容の説明に行くべきです。
直接説明すれば、ある程度優先的に手続きを進めてもらえますし、担当者が当社の事情を十分に考慮して対応してくれるなど、
換価の猶予を受ける側に大きなメリットが発生する可能性が高いため、代表者自らが直接税務署へ説明に行くことをお勧めします。
審査手続きの完了期日の目途も直接教えてもらえます。
換価の猶予を受けて事業を継続してもらったほうが、税務署側も倒産されるより徴収が合理的に可能であるということを説明することが重要です。
その後、所管の都税事務所等にて、必要書類を受領後、審査を行います。
審査にあたり、お電話で申請書類の記載内容について伺うこともあります。
猶予を受けようとする金額が100万円を超え、担保提供が必要となる場合は、所管の都税事務所等から案内が行くことになります。
審査等の手続きにかかかる日数は、数日~20日程度です。
■猶予決定の通知書(又は不許可の通知書)と新たな納付書を郵送されます。
納期限後の申請の場合や換価の猶予の申請の場合は、猶予決定を行う所管の都税事務所等が変更となることがあるようです。
まとめ
このようにコロナで納税の猶予が必要な事業者の方も各種書類などを準備することで対応できますので、弊社の専門家にお気軽に相談ください。